百科全書派の総帥ディドロも、「ひどい頬紅をこれ見よがしに付けるのは、眼を楽しませるものではない。
......しかし、流行の圧制から逃れることはむずかしい」と批判しています。
こんなにコテンパンにいわれつつも、頬紅の流行は18世紀の末まで続いたのだから、流行というものはわからない。
しかし、かくも長期問続いた理由を探ってみると、当時の貴婦人の不摂生な生活が原因と思われます。
つまり、舞踏会やら賭博やらで、毎晩寝るのは早くても2時、3時。
しかも複数の愛人を持ち、快楽を熱心に追い求めていた時代でもあります。
どう考えても、貴婦人の肌の色艶が良かったはずがない。
しかし、宮廷につめていて、国王の寵愛をえようと虎視眈々である貴婦人にとっては、少しでも疲れている素振りを見せるのは非常にまずい。
国王に取り入るどころではなくなる。