18世紀のイギリスでは、貴族は国会議員として国政に参加したり、大地主として農業経営に精出したり、実業家として活躍したりというように、国家にとって有用な存在であり、名実ともにイギリスの支配階級であった。
ところがフランスではイギリスとは違って、王権がはるかに強大であったため、少し極端にいうと、貴族は王権の飾り物でしかない。
政治や経済の実権を持たない貴族にとっては、タップリある時間をいかに活用して、毎日を面白おかしく過ごすかということが大問題。
どんなことをしても、退屈することこそは避けなければなりません。
『百科全書』の執筆者の1人である作家のマルモンテルは、"退屈"をさして「満足病」と名付けたが、この病いにかかるのは、充ち足りた享楽生活を送る特権階級のメンバーに限られ、日々の生活に追われる庶民には全く無関係。
ということは、何事も思いのままである国王は、「満足病」にかかりやすいはず。
事実、ルイ15世の愛人ポンパドゥール侯爵夫人が、20年あまりもの間、国王の寵愛を集めることができたのも、彼女がルイ15世のレジャー大臣として、国王のために次から次へと目新しい気晴らしを組織し提供したからだと伝えられています。
なにぶん退屈することは禁物なので、上流階級の人びとの時間は毎日ビッシリ予定で埋まっています。
特に何もしないのだが、1日中忙しく、空いた時間は一時間もない。
つまり1日の大半は社交に費やされます。
これなら退屈する暇はないでしょうしかし毎日よく続くという印象も受ける。